「シーガル」が「シーガール」になった、愛すべき誤植
店名の由来は、かつてこの場所を切り盛りしていた"カモメママ"が看板屋に「シーガル」と発注したところ、地元の職人に英語が伝わらず「シーガール」と書かれてしまったという説が有力です。その誤植がそのまま店名になり、数十年後の今も看板に残っています。 TETOTETOはこの名前も、看板も、内装の骨格も、あえて変えませんでした。色だけを塗り直し、あとはそのまま。土地の記憶を消すのではなく、纏いながら新しくする——それがこのプロジェクトの基本姿勢でした。
予算もプロも、ないところからはじめる
リノベーション工事は地元企業・マルゴが秋田県の助成金を活用して実施。TETOTETOは裏方として支援しました。内装の細かい指示はすべて地元の大工さんとLINEでやりとりしながら進め、接着剤の除去には特殊薬剤を使うなどDIY的なアプローチで仕上げています。 設計士もいない、潤沢な予算もない。それでも「いい空間をつくる」という目標は変わらない。そのなかでTETOTETOが担ったのは、制約を言い訳にしない現場のディレクションでした。
メニューも、人も、流動的でいい
ベースのコンセプトはナチュラルワインとレコードのリスニングバー。一方で地元の常連からはウイスキーなど蒸留酒が飲める場所として親しまれており、ふたつの顔を持ちながら運営されています。 メニューはスタッフによって柔軟に変わります。バーテンダーがいればその人にメニューを任せ、知識がなければTETOTETOがレシピを考える。クリームソーダはホップ水とスピルリナで開発した自家製レシピです。「完成形を決めすぎない」ことが、地域に根ざした店の続け方だと考えています。